ワインの生産地を聞いて、その味や香りが想像できれば、すっかりワイン通ですね。
幾多もあるワインはそれぞれどのような条件下で造られるのでしょう。
ブドウ栽培に適した地域
何がワインに違いを与えるのかを理解するには、まずブドウがどのように成熟するのかに注目する必要があります。他の果実と同様、ブドウが成熟するのには、十分な日照と温度が重要です。十分な日光と適度な暖かさがあればブドウは順調に成熟し、糖分が増えて、酸味の度合いが下がります。
黒ブドウ品種の場合は、果実が熟れて、緑から赤へ、そして濃い紫色に変化します。日照と温度が不十分な場合、ブドウは酸味が強すぎるままで、十分に甘くなりません。このようなブドウから造ったワインは、水っぽく、酸っぱい味になってしまいます。
また日照が多すぎ、温度が高すぎた場合は、十分な酸味が残らず、甘くなりすぎてしまいます。このようなブドウから造ったワインは、アルコール度が高すぎ、しまりがなく、バランスを失ったものになります。
ワインベルト/Wine belt
上記の世界地図を見て頂きたいのですが、北緯30℃~50℃、南緯30℃~50℃の区域を”ワインベルト(Wine belt)”と呼びます。
このワインベルトと呼ばれる地域は、ブドウの栽培に適した地域であり、一般的にワインが造られる場所として敵していることから、数多くのブドウ畑やワイナリーが存在しています。
赤道”equator”に近いほど、暑い地域となります。
北緯30℃~50℃には、フランス、イタリア、スペイン、ドイツ、アメリカ、日本などが属しており、
南緯30℃~50℃には、チリ、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなどが属しています。
ブドウの樹は、葉から水分を蒸発させることで、温度を低く保ちます。
この地域には四季があり、暑かったり寒かったりを繰り返すことで、ブドウが活性化したり休息したりしてブドウの表情に変化をもたらします。それにより様々な顔のワインが醸造されることとなります。
緯度が同じ産地でも諸条件でスタイルが異なる
それでは、緯度が同じ度数であれば類似したワインが造られるのかというと・・・それは違います。
ブドウ栽培に影響を与える主な要因として、以下3つがあります。
1)気候;平均温度10℃~20℃の地域
2)日照量;ブドウの花の開花から収穫まで計1,300~1,500時間
3)土壌;水はけがよく、痩せている
3)土壌を例にとると、乾燥した石の多い土壌は暖かく、湿った粘土質の土壌は冷たいため、造られるブドウやワインのスタイルはそれぞれ異なってきます。
また海面が近い場所は比較的暖かく、高度が高い場所は冷たいといった視点でもどんなワインが造られるのか想像することができます。
1)気候とは、地域ごとに通常予想される長期間の平均的な天候状況を示します。その地域の気候を知ることで、ブドウに影響を与える気温や天候状況を予測することができ、そこで造られるワインのスタイルも予測することができます。
冷涼な気候
例として、フランス北部のアルザス地方、ドイツなどが挙げられます。
冷涼な地域のもとでは、次のようなワインが生産されます。
- 主に白ワイン
- 酸味が高い
- アルコール度が低い
- 爽やかな風味
高温の気候
例として、フランス南部、スペイン中央部、南アフリカなどの地域が挙げられます。
高温の気候のもとでは、次のようなワインが生産されます。
- 主に赤ワイン(黒ブドウ品種は、成熟するのにより多くの熱を必要とするため)
- アルコール度が高い
- 風味が豊かである、深みがある
日本を例にとると、冷涼な気候で収穫される果物として青森県の林檎🍏が有名ですね。
一方、高温(温暖)な気候で収穫される果物として宮崎県、沖縄県のマンゴーが有名ですよね。
林檎≒白ブドウ、マンゴー≒黒ブドウに置き換えると、とてもわかりやすいですね。
幸いなことに、日本は列島のほとんどがワインベルトで囲まれているため、どの地域でもワインを造ることができます。
最近では、東京都内でも、温度管理ができるコンクリート造の建物の地下や1階で、ワイン醸造をしているところがあります。
来月、深川にあるワイナリーに行く予定ですので、とても楽しみです^^