Master of Wine (MW) とは、イギリスのワイン商組合『Vintners Company』が設立したマスター・オブ・ワイン協会が認定する資格で、ワイン界の最高峰資格と言われています。
マスター・オブ・ワイン協会
Institute of Masters of Wine
同協会は既に60年以上の歴史がありますが、2016年時点でのMWは世界24カ国で340人程度しかおらず、イギリス人でワイン業界に最も影響力がある人物の一人、ジャンシス・ロビンソン(Jancis Mary Robinson)など世界に名だたる人たちがこの資格を保有しています。
MW受験資格
MWを目指すには、WSET®Level4 Diploma資格が必須条件となります。
MW試験
試験は以下の3つのパートで構成されています。
- 実技(36種類のワイン・テイスティング)
- 学科(14種類の学科論文)
- 研究調査課題提出(業界貢献を果たし得る最大10,000語の卒業論文)
前者2つのパートを両方ともに最長でも6年以内に突破しなければ合格パートは白紙に戻され、向こう3年間の受験資格を失います。それら2つのパートの合格者が最終研究調査課題提出に臨み、それが受理されれば晴れて合格に至るという、ワイン業界で最も難易度の高い資格として知られています。
1984年にジャーナリストで初めて合格したジャンシス・ロビンソンMWは、2013年のファイナンシャル・タイムズ紙の記事で、「合格率は10%しかない」と書いており、毎年100人以上の愛好家がプログラムに出願するが、15~40%は知識と経験不足で不合格になるという。試験を受けずに人脈拡大を狙いとする「MWツーリスト」も登場しているそうです。
合格後は晴れて自分の名前の後ろに、国際的に商標権を有した、マスター・オブ・ワインを意味するアルファベット”MW”を付けることができます。
MW取得にかかる費用
上記プログラムはヨーロッパ、オーストラリア、米国で受けられますが、出願から受験まで税別で計8390ポンド(約155万円)かかるそう。最初の2ステージは各地でセミナーを受けたり、試験と同程度の試飲や課題をこなします。
試験にたどり着く以前に、金銭的、時間的な負担が大きく、セミナー以外に産地を訪問したり、市場を調査する必要があります。協会のあるロンドン在住であれば、世界の生産者と会い、試飲できるチャンスがありますが、そのほかの国ではプログラムへの旅費、宿泊費だけでも結構かかります。プログラムの費用以外に、産地を訪問しての取材などにかなりの費用を使うことになります。
日本人ではまだ2人!
英国の金融機関を監督する英国金融サービス機構で勤務していた田中麻衣氏が2011年に日本人初MWを取得し、2015年には栃木県の酒類専門店で代表を努める大橋健一氏がMWを取得しています。
イギリスでの暮らしが長い田中氏の論文は、
「ワインファンド規制が投資家を保護し、資金供与者のビジネス機会を高めるかどうか」に焦点を当てている内容です。
一方、日本のトレード市場で働く大橋氏の論文は、
「東京の高級寿司レストランのワインリスト 現状と変革への可能性」をテーマとし、382店の寿司店のワインリストを調査して「フランスワインが支配的だが、変化への可能性はある」という結論を導き出したそうです。
さすが教育機関の資格だけあり、大学の卒論のよう。しかも英論文。MWまでの道のりは長いですね・・・。
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